女性ファッション誌「着回し」企画の総額は(その1:MORE6月号編)

What's「着回し」

 といっても今更説明することでもないと思うが知らない人もいるかもしれないので念のため。
 通勤、通学。毎日同じ服を着ていくわけにはいかないから、人は服の組み合わせを考える。それでもおしゃれに、服をたくさん持っているように見せたい。そして出費も抑えたい、ということは「いかに最小の服で最大の組み合わせを作るか」がポイントになってくる。
 ファッション雑誌を見ればだいたい載っているこの「着回し」企画。特徴を箇条書きにするとこうなる。

  • まず最初にワードローブの一覧が出てくる(服だけ平置きした状態であることが圧倒的に多い)
  • そして曜日や実際の日付でコーディネイトを一日一個紹介。これはモデルが着用した写真
  • コーディネイトには最初のワードローブ一覧でどれを使っているかアルファベットで示していることが多い
  • 何故かストーリー仕立てになっていて、日付が進むにつれ物語が展開されているものが多い
  • さらに本当にどうでもいいその人の架空のプロフィールが冒頭についている場合もある
  • 本当に気合の入った着回し企画は鞄、靴、アクセサリーまでワードローブに指定
  • 昔は週単位が多かったが、今は一ヶ月単位が多い

また発展系として

  • フェミニンなコとカジュアルなコという風に、服のテイストが違う二人を同時に紹介することもある(ノンノに多い?)
  • 最近多いのが「買い足し」として途中に買い足すアイテムが紹介されているもの
  • 男性誌でも見たことがある。ポピュラーかどうかは私はよく分からない(こちらは後述)

こんなところだろうか。

全部鵜呑みにして実行したら

 ようするに、これ全部鵜呑みにして実行したらいくらかかるのだろうか、ということだ。
 多分かなり高いのではないかと思うが、雑誌によって値段帯も変わってくるだろう。

 実際そういうことを実行する人がいるのかどうか知らないが、いざやるとかなりの労力だと思う。どうしてかというと、扱っているアイテムの店がまるでばらばらなことがほとんどで、一箇所に行けば全部揃うわけではないからだ。
 しかも雑誌掲載アイテムはすぐ売切れたりして手に入りにくい。それを考えるとかなりの労力がかかることは想像に難くない。

 マンガ「ホタルノヒカリ」では主人公がそれをやっている(理由は面倒だから)と豪語していた気がするが、実際めんどくさがりやでも何でもないと思う。*1

 とにもかくにも、誰もやらなそうだが値段だけは調べてみることにした。

対象雑誌一覧

 とりあえず家にある雑誌で着回し企画があるものを全部拾ってみることにした。複数号ある場合は(持っている)最新のものから拾ってみた。

■1■MORE 6月号
MORE (モア) 2007年 06月号 [雑誌]
特集名:これで完成!! みおの着回し春→夏書い足し最強プラン

少し古くて申し訳ないがMORE六月号。
これももういきなりタイトルに「買い足し」とあって、今時の着回しプラン。

■2■Style 7月号
Style (スタイル) 2007年 07月号 [雑誌]
特集名:初夏←→梅雨「ワンピ4枚」が主役の着まわし31日間

ワンピ4枚で一ヶ月とは、かなりヘビロテな気がするが…この雑誌はあまり売ってないので困る。
とはいえ今後は買わない気もするが…薄い割りに高いし…。

■3■Oggi 7月号
Oggi (オッジ) 2007年 07月号 [雑誌]
特集名:見た目も着心地も、涼やかに! 梅雨から真夏の一か月コーディネート

予想では一番高額になるのではないかと思うオッジ。
「着まわし」という単語はきっと貧乏くさいから使わないのだろう、と勝手に深読み。

■4■Look!s 2007年夏号
Look ! S (ルックス) 2007年 07月号 [雑誌]
特集名:6月→7月 憧れモデルのおしゃれテク公開! 小畑由香里の着回しダイアリー

実はこの雑誌は通販カタログでもあるのだが、通販よりは若干ファッション誌に近い紙面づくりをしている。
今時通販カタログも着回し企画は結構やってるが、とりあえず私が今持っている通販カタログのうち載っているのはこれだけだった。

■5■BAILA 6月号
BAILA (バイラ) 2007年 06月号 [雑誌]
特集名:沙世の着回しダイアリーVol.1 さらりフェミニンときどきカジュアルな31days

なんとバイラは特集ではなくて連載。この号から開始されたようだが。
まあどうせ何かしら毎号やるんだから連載でもいいような気はする。モデルが固定されることの是非はあるだろうが。

■6■AneCan 7月号
AneCan (アネキャン) 2007年 07月号 [雑誌]
特集名:大人めかわいい サチOLの1か月コーディネート

結構シンプルなコーディネートで私は好きなAneCan。やや色に乏しい感は否めないが、そこはそれ。
こちらも「着回し」という単語は特集名には出てこない。

 以上、6誌。

 統計立てるために以下のデータを載せていく。

  • 「基本アイテム」アイテム名、ブランド、値段、登場日数
  • 「買い足しアイテム」アイテム名、ブランド、値段、登場日数
  • 「欄外アイテム」アイテム名、ブランド、値段、登場日数
  • コーディネート総日数
  • 1日辺りのコスト

 なおコーディネート一覧に載ってなくてもモデルが見につけていて値段が併記されているものは「欄外アイテム」とする。値段が書いていないものはもう断念だ…。

■1■MORE 6月号:これで完成!! みおの着回し春→夏書い足し最強プラン


どうでもいい主人公のスペック
名前:みお
職業:OL(インテリア・雑貨を扱う会社)
年齢:25歳
彼氏:美容師のオサム(つきあって3年)
その他:悪目立ちしないベーシックな着こなしがポリシーだったが、最近「もしや華がない!?」と鏡の前で迷うことも
基本アイテム一覧(全17アイテム)

アイテム名 ブランド 値段 登場日数
白ショートジャケット コルテス ワークス 30,450 4
ブルーふわ袖カットソー アナカ 10,290 4
白五分袖シャツ ノリヒト サトウ 18,900 3
黒×白ボーダーカットソー パンセ 11,340 5
薄グリーンカーディガン ルビーリベット 9,975 2
カーキーボウタイブラウス リヴィジテーション 17,850 3
白サテン地プリーツスカート ル ドーム イエナ銀座店 16,800 4
スキニージーンズ ブルーカルト 22,890 4
黒ひざ丈ハーフパンツ マイダルタニアン 17,850 6
ブルーストール イー・ヴィ バイ エ・ヴー 9,975 2
太メッシュベルト デンビロビューム 10,290 2
茶トートバッグ サザビー 39,990 4
白チェーンバッグ エニィ スィス バイ クミキョク スィス 8,295 4
ベージュパンプス フラミューム 27,300 5
オープントゥパンプス マリオルカ ジュスティ 36,750 6
ストーンつきネックレス ビアズリー 11,550 3
クロス&パールネックレス ルーニィ 6,090 5

買い足しアイテム一覧(全21アイテム)

アイテム名 ブランド 値段 登場日数
光沢フリルブラウス パンセ 17,640 3
ベージュワンピース カイラニ 26,040 4
ブルー台形スカート アナディス 13,650 5
パール二連ネックレス ノジェス 17,850 2
グレイニーハイソックス 靴下屋 1,260 1
黒エナメルバッグ サザビー 21,000 2
バレエシューズ レペット 27,300 3
グレイロングパーカー プライドグライド 13,650 4
黒×イエローポロシャツ フレッド ペリー 10,290 2
白ひざ上丈パンツ パンセ 13,440 5
メタリックメッシュバッグ ガリャルダガランテ 19,950 4
クロスネックレス エルチャンス渋谷109パート2店 2,100 2
ゴールドバックルベルト フリーズ ショップ 9,660 3
黒レギンス ジュヌヴィエーヴ 3,045 2
Tストラップサンダル フランコマルティー 35,700 3
キャミ型プリントワンピース マイ ダルタニアン 22,050 2
グレイロゴTシャツ Sunny Girl California 6,195 1
花柄サテンふわ袖ブラウス ドゥエ ビランチェ 28,350 2
でかかごバッグ サンアルシデ 17,850 3
ウエッジサンダル カスタニエール 34,650 2
赤バングル エルチャンス渋谷109パート2店 525 3

気になる最終データ

■総アイテム数 38
■総額 648,780円
■コーディネイト数 30
■1アイテム平均額 17,073円
■1コーディネイト平均額 21,626円
■1コーディネイト1アイテム平均額*2 4,878円

■アイテム別データ
(トップス・ボトムス・アウター・靴・バッグ・アクセサリー・小物で分類)

分類名 総数 総額 1アイテム平均額
トップス 9アイテム 151,305 16,812
ボトムス 5アイテム 84,630 16,926
アウター 4アイテム 71,715 17,929
5アイテム 161,700 32,340
バッグ 5アイテム 107,085 21,417
アクセサリー 5アイテム 38,115 7,623
小物 5アイテム 34,230 6,846

感想と考察など

 なんと総額64万円とは…。確かにひとつひとつが割りと高額だなと思いながら書いていたが、これほどとは…。
 作る方もよく考えていると思う。登場回数ができるだけ均等になるように考えているのがはっきり分かるからだ。ただこれは買い足し企画なので、最後に出てくる買い足しアイテムはどうしても登場回数が少なくなる。
 また季節が移り変わっていくことを考えているので、最初は着ていたジャケットなどは後半ほとんど出てこなくなるし、逆に後半サンダルなどが出てきたりする。

 靴や鞄については出てこないコーディネートもある。(家にいるとかそういう設定のもの)また外にいるのに足元が写っていないコーディネイトは靴が掲載されていなかった。律儀というかなんというか。

 それにしても64万円とは…しつこいようだがかなり驚いた…ホタルノヒカリの主人公は相当金持ちなのではないだろうか…マンガを読んでいると収入はそこそこありそうに見えるが…。

 やるのは大変だったが、大変なのはアイテムを書き出したりするまで。集計は書いたテキストを読み込ませてExcel一発なので問題なし。
 他誌との比較はかなり面白そうなので、頑張って最後まで集計してみようと思う。

*1:このホタルノヒカリの作者ははてなをやっていて、キーワード「干物女」を昔登録していたような気がするが…。その時は「そのくらいいいんじゃないの」みたいな話で片付いていた気がする

*2:アイテム総額÷全アイテム登場日数合計