女性ファッション誌「着回し」企画の総額は(最終回:6誌まとめ編)
http://d.hatena.ne.jp/Banyou/20070614/1181822877
http://d.hatena.ne.jp/Banyou/20070616/1181966713
http://d.hatena.ne.jp/Banyou/20070618/1182170390
http://d.hatena.ne.jp/Banyou/20070619/1182252615
http://d.hatena.ne.jp/Banyou/20070622/1182512681
http://d.hatena.ne.jp/Banyou/20070627/1182947678
ということで全ての調査が終了し、最終回である今回は全誌のクロス集計や考察などを載せていこうと思う。
ここでばしっと決めて明日のバーゲンに備えたいところだ。*1
まずは小ネタから
■各誌のブランド数(とアイテム数)
■ | MORE6月号 | Style7月号 | oggi7月号 | Look!s2007夏号 | BAILA6月号 | AneCan7月号 |
ブランド数 | 34 | 37*2 | 55 | 28*3 | 23 | 65 |
アイテム数 | 38 | 49 | 93 | 41 | 31 | 111 |
1ブランド平均アイテム数*4 | 1.12 | 1.32 | 1.69 | 1.46 | 1.35 | 1.71 |
1ブランド当たりの平均アイテム数として慣らすとやはりさほど差がない。アイテムが増えればブランドが比例して増えていくというわけだ。平均で慣らすと全て2以下となってしまうが、実際の値を見ると10などというブランドも出てくる。
■頻出ブランドベスト5(カッコは登場回数)
5位 BOSCH/M-プルミエ/フランチェスコ・ビアジア/ヘンネ/ルジアダ(5)
4位 23区/Theory/フォリフォリ(6)
3位 エポカ(8)
2位 アビステ/ヴェイド(9)
1位 ジャスグリッティー(10)
で、全ての雑誌をミックスした状態での頻出ブランドベスト5。といっても1位のジャスグリッティーは全てAneCanからだし、数が多いからあちこちで取り上げられているということにはならない。
■複数雑誌に登場したブランド(カッコは登場回数)
3誌 フランチェスコ・ビアジア(5)/ヘンネ(5)
4誌 23区(6)
頻発ブランドはこれら。2誌になるとさすがに多くなりすぎるので割愛。
意外にもドメブラ*5 の23区が4誌に登場。何が登場しているのか見てみたら、なんと服は一回もなく、全て小物・バッグ・アクセサリーだった。確かにこれらのものは定番というのもなかなか難しいところだし、だとするとたいしてお金をはたきたくないのも正直なところ。
■高額&チープ
□高い(50万円越え)
ゴールドバングル/ヴェイド/504,000/oggi
シルバー時計/ベダ&カンパニー/708,750/oggi
皮ベルト時計/ベダ&カンパニー/876,750/oggi
□安い(1,000円以下)
赤バングル/エルチャンス渋谷109パート2店/525/MORE
ブルーシェルネックレス/お世話や/945/Look!s
高いのは全部時計かアクセサリー。正直バングルの50万は5万の見間違いかと思ったので、もう一度雑誌を見直してみたら印刷はそのようにされている。そしてオフィシャルにも行ってみた。
http://www.vaid.co.jp/index.html
確かに高い…あっているようだ…。
そして上位に食い込むベダ&カンパニー。
よく分からないので日本語で値段が分かるページ。
http://www.wwcnet.jp/BEDAT.htm
にしても、ファッション誌を見てこういうブランドのサイトを見てみるのは楽しい。おしゃれマニアでもない私からしてみると知らないブランドがざくざく見つかるからだ。
安カワのお世話や。商品紹介のページを早く完成させてもらいたいものだ。って私なら川崎に行って直接見るが…。
そして集計グラフ
お待たせしてしまったが、全ての雑誌の結果を集計したグラフを用意した。
雑誌別各アイテム平均額
こうして見ると、トップス・ボトムス・アウターまでは大きな差がない。つまり服はどの雑誌も似たり寄ったりで、金額に大きく差がつくのは靴・バッグ・アクセサリー・小物というわけだ。
今回取り上げている雑誌はハイブランドの服を取り上げるようなものがない。ここへInRedやSPURなどモード寄りの雑誌を入れていれば服の平均額は随分変わっていただろうと思う。
服以外のどこにお金をかけるかということでいえば、まず総じて安いLook!sははなから除外。MORE、Style、AneCanはほどほどに服と同じくらいにお金をかける。BAILAはとにかく靴とバッグ重視、逆にoggiは小物とアクセサリー重視になっていることが分かる。
アイテム・コーディネイト平均額
これらのグラフはようするに、ものの単価や一日の単価をはかるもの。コストバカ高なのはoggiであるのは予想通りだが、意外にもAneCanも1アイテムあたりのコストが高い。これはアイテム数がやたら多く、上手に着まわしていないためと考えられる。前述のグラフを見ても分かる通り、それぞれのジャンルの平均額は決して高くはないからだ。
残りは各ジャンル別平均額とほぼ離れない結果となっている。
アイテム総数・総額
こちらはアイテム総数に比例して総額が上がることが一目瞭然。ただしアイテム数が極端に少なかったBAILAだけは総額がやや高めの結果となっている。
各雑誌の特徴など
■MORE
- ワードローブ一覧にアルファベットや数字などの記号を一切使用せず。CD写真の横には小さなサムネイルがあるのみ
- バッグには大きさを、靴はヒールの高さを表記してある親切仕様
- ブランド名や値段などの印刷は文字大きめで比較的見やすい
- 会社よりもプライベートの記述が多め
- 唯一具体的な日付及び曜日の表記がない
■Style
- 欄外アイテム一切なし、アイテムは全て見やすいアルファベット+数字表記
- こちらもブランド名や値段などの印刷は見やすい
- 会社とプライベートの記述だとプライベートがやや多め
- アイテム平置き(=モデル着用ではない)コーディネート写真もある
- 日付・曜日表記あり
■oggi
- ワードローブ一覧はアルファベット。スーツなどのセットアップ物はジャケットが「A」パンツが「A’」というように区別してあり親切
- 欄外アイテム多すぎ
- (服屋ではない)お店の紹介も兼ねている。連絡先なども勿論併記
- 他誌と比べると仕事しているという印象
- 日付・曜日表記あり
- こちらもMORE同様、アルファベットなどの記号はなくサムネイル方式
- 欄外アイテムは実際に紹介されているページ数のみの表記
- 室内でくつろいでいるような写真が多く、何やってんのか不明
- 日付・曜日表記あり
- アイテムは欄外なしで全て記号アリだが、英小文字の区別が非常につけにくい
- 文字は登場雑誌の中で一番大きく見やすい
- 平置きコーディネートあり
- よく見るとoggiよりも仕事している
- 日付・曜日表記あり
- ワードローブの記号の英文字は非常に見づらいフォント、欄外アイテム多すぎ
- 文字が一番小さく、背景色と同じような文字色を使っていたりする
- 各コーディネートの状況説明が一番長い
- 仕事とプライベートは半々くらい
- 日付・曜日表記あり
特徴をざっと書くとこんなところ。アイテムのブランドや値段表記が一番見やすかったのはBAILA、一番見づらかったのはAneCan。文字も小さいし背景と溶け込む文字色だったりして読むな、ということか、と思ったくらいだ。アルファベットのフォントもとにかく見づらい。
あとやはり記号がないのは集計が非常にツラい。Look!sは他のページに飛ばないと値段などが分からないので、ページを繰るのも大変だった。
MORE以外は全て曜日が指定されているので、土日でもなければ皆仕事はしているはず。だがそれでもアフター5の記述をしているものもあるわけで、そこであえて仕事のコーディネートを出すかプライベートのパーティーやデートの格好を使うかは雑誌の個性が現れるところだろう。
今回取り上げた雑誌の着回し企画の中にはなかったが、アフター5にはこうすればお遊びモードになりますよ、というコーディネイトを提唱している企画もたまに見る。
感想と考察
着回し企画は現実的なもの、と最初思っていた。
だが多くの人にとっては実際実行することはほぼ不可能に近い、コーディネートの組み合わせを学ぶだけの企画であるということはよく分かった。「その」アイテムをGetするというよりは、手持ちのアイテムや似た安いアイテムでやってみよう、とする方が賢いのだろう。勿論気に入ったものは買えばいいのだろうが、全てを買うことはできない。
では着回し企画とは一体何が学べるのだろうか?
具体的に雑誌に書かれることはあまりないが、
- 服のテイストを揃える
- 色の使い方
- 違う店・ブランドのアイテムの組み合わせ方
とかそういうことなのではないだろうかと思う。
着回し企画の服を全部買うよりも、もっと簡単にそれなりにおしゃれになれる方法がある。
「同じ店買い」もしくは「マネキン買い」だ。
同じ店(ブランド)の服はやはりテイストが統一されているし、マネキンが着ている服を一式揃えれば即、それなりにイケてるコーディネイトの完成だ。マネキン買いは組み合わせが増えないのが難点だが、そこへ同じブランドの服を数着投入すればかなり着まわせてしまえるだろう。
そういうことを実行している人は結構いるのではないかと思う。勿論、単純にそのブランドの服が好きで気付いたら結構買っていた、という人もいるだろうが。
好きだからではなく意図的にひとつの店やブランドの服に集中するのは個人的にはあまり面白いとは思わないし、それになんというか飽きが来そうな気がする。
それにそれでは何より、創意工夫する余地がほとんどない。やっている人はそれが面倒なのだろうが…
賛否両論あると思うが、私は個人的に「おしゃれな人」というのはやはりいろいろな店やブランドを知っていて、高いの安いのいろいろとりまぜてとってもイカした着こなしをする人だと思っている。そういう人はスタイリングの幅も広そうだし。
以前テレビを見ていたら某雑誌の読者モデルの人を取り上げていたが、行きつけのショップは100以上、結構年のいった人だったのだが渋谷109などもテリトリーにしていた。安カワもちゃんと取り入れているのだ。
洋服の質やブランドにこだわる人は服・ブランドオタクであり、おしゃれとはまた別の領域なのではないかと思う。
どんな局面であれどれだけお金をつぎ込んでも構わない、という人はやはりマニアだろう。
この企画、疲れたがなかなか面白い結果が出たのでよかった。
<蛇足とお礼とさらなるお願い>
ブックマークしてくださいとお願いしたら数名の方にブックマークしていただき、有難いは有難いのだができれば一番最初のエントリ(http://d.hatena.ne.jp/Banyou/20070614/1181822877)にブックマークしていただきたかった。今のところブックマーク数が一番多いのはこのエントリなので…。何度もワガママすみません…。